医療機器イノベーション人材育成プログラム、通称MID1(ミッドワン)は医療機器業界における次世代イノベーターの育成とそのネットワークの形成を目的とした東京都の新規事業創造プログラム。医療機器の分野にすでに参入している企業に加え、将来的に参入したいという10の企業の若手社員を対象に、5ヶ月に及ぶ全13回の構成で実施しました。
このプログラムの大きな特徴は2つあります。
1つ目は企業イノベーションの理解です。数々のイノベーションを生み出してきた企業やイノベーターはどのようにして今日に至るのか、ゲスト講師の講演などを通じ、理解を深めていきました。また、それぞれ自分たちの企業はどのような資源や技術を持っているのか、それらはどのように変化してきたのか、リ・パブリック独自の「イノベーションマップ」と呼ばれるツールを使いながら、自社のイノベーションの変遷を整理していきました。
そして2つ目は人間中心デザインです。それは患者という最終利用者との距離が近いようでもっとも遠い医療機器開発という分野において、徹頭徹尾Patient First (患者第一主義)を実践することを意味します。数々のフィールドワークやインタビュー、ターニングポイント分析といった手法に基づき、それぞれが取り組むべき課題をじっくりと探索した後、アイデア発想やプロトタイピング、メンタリングを経て最終発表を迎えました。
VOICE
市川文子 (プロジェクト担当者より)
「患者やその家族と話したことはない」ーー 今回プログラム参加者と話してもっとも驚いたのは、医療機器メーカーとその機器に命をも左右されうる患者との距離の大きさでした。
「患者を知ることでしかイノベーションは生まれない。」
医療機器業界において数々のイノベーションを生み出してきた先人たちの言葉に基づき、参加者はそれぞれ、認知症患者やその家族、在宅や総合病院といった医療現場、医師や看護師や助産師、臨床工学技士など、さまざまなステイクホルダーに話を伺いました。参加者によってはフィールドワークの数は10数件、またプログラム終了後もチーム別に集まって作業を進めたり、進捗に応じてデザインカウンセリングや医療従事者や投資家にメンタリングを受けたりと、その作業時間は数百時間に及びました。
一方プロトタイプの段階では、マウスを用いた実験を行ったり、口内衛生実験をするなど、後半になるにつれて、それぞれの専門性や研究領域へと結びついていきました。その結果、参加者の中には最終発表を待たずに経営者から「事業としてやってもいい」という了承を取り付ける強者も現れました。
CREDIT
- 主催東京都 産業労働局商工部創業支援課
- プログラム監修一般社団法人ジャパンバイオデザイン協会
- メンタージャパンバイオデザイン協会理事 中尾浩次
ジャパンバイオデザイン協会共同ディレクター 前田祐二郎
TOTO株式会社顧問 猿渡辰彦
経済産業省商務サービスグループ ヘルスケア産業課 西垣孝行
(※組織名・肩書は当時のものです。) - 参加企業USCIジャパン株式会社
株式会社東和製作所
株式会社ニチリョー
バーズ・ビュー株式会社
マナック株式会社
株式会社フジタ医科器械
株式会社高研
株式会社メディヴァ
NPO法人日本政策創造基盤
(※一部抜粋。組織名は当時のものです。)