熊本イノベーションスクールは、企業の次代を担う若手経営者・幹部候補を対象とした事業創造の学びの場です。講義と演習を通してイノベーションの基礎力を養なう「次代舎」と、チームで新しい事業をつくり実践につなぐ「Project 180」の2つのプログラムが並行して走っています。
熊本県は事業者の約99.9パーセントが中小企業で、なかでも20人以下の小企業(商業・サービス業においては5人以下)の割合が全国の中でも高い県です。小企業では労働力不足のために、新たな投資を伴う新規事業の創出や従業員の能力開発に対して消極的になりがちということがよく指摘されます。
一方、経済のデジタル化・グローバル化が加速し、企業の収益基盤となるバリューチェーンの構造が大きく変化していく中で、中小企業の未来を担う事業開発は、どの企業においても喫緊の課題となっています。
こうした状況下において、熊本の中小企業が時代の変化を捉えた事業変革を実現するサポートをすべく、熊本イノベーションスクールは構想されました。
「次代舎」は、主にイノベーションを起こすのに必要な基礎知識とノウハウを一流の講師陣から学ぶプログラムで、講義+ケーススタディ演習の「アクティブ・ラーニング」によるプログラム構成を取っています。自社の強みを生かし、新たなマーケットを創造するためのカリキュラムを通して、固定観念にとらわれず、様々な方法で事業の可能性を深掘りしていきます。
初年度の2018年は、10回11日間にわたる連続講義を開講。国内トップクラスの講師陣が熱のこもった講義を展開し、専門的な教育と実践の経験を積んだファシリテーターが、講義での学びを自社の事業に落とし込んでいく演習をサポートしました。
他方、「Project 180」は、熊本県下の中小企業の次代を担う人材が、東京をはじめとした大都市圏から参加する感度の高い人材とチームを結成し、共に学び、共に考え、共に成果を出す、実践型の事業創造プログラムです。また、日本、そして世界の第一線で活躍するクリエイティブな事業家が、参加者のメンターとして伴走します。
2018年のプログラムには、熊本県下の企業8社から若手経営者、事業承継候補者、若手幹部候補者ら8名が参加しました。また、東京をはじめとする大都市圏から、16名の「県外サポーター」が参加しました。9月から12月まで、4回にわたる熊本県内での集合研修を通して濃密な時間を過ごし、チームでのディスカッションを通して新規事業案を作り出しました。プログラム終了後も継続的に活動を続けているチームもでています。
VOICE
岡橋毅 (シニアディレクター)
Project 180 の参加者とともに過ごすなかで気づいたのは、若い経営者や事業承継者とって、真剣に議論できる異分野の仲間は貴重だということです。その理由はいくつか考えられますが、やはり先代の経営者や経営陣の存在感に隠れてしまうこと、社員との間ではあまり突飛なアイデアは話しにくい、というあたりが有力そうです。
本プログラムのなかで、分野も地域も異なる「県外サポートメンバー」やメンターたちといきいきと議論している様子は、やや表現に語弊があるかもしれませんが、やっと良い「スパーリングパートナー」に出会えたような喜びが伝わってくるようでした。いつもは常に頭のなかにある会社のこと、社員のこと、お客様のこと、地域のこと、などなどをひとまず横に置いておいて、会社の未来について自由闊達に話し、聞き、また話す機会がある。それが、熊本イノベーションスクールの価値の1つなのだなと思っています。
CREDIT
次代舎
- 主催熊本県
- 企画・運営熊本学園大学、株式会社リ・パブリック
- ウェブサイトhttps://jidaisha.org/
Project 180
- 主催熊本県
- 企画・運営株式会社リ・パブリック
一般社団法人フミダス - メンター若林 恵(黒鳥社 コンテンツ・ディレクター)
山田 遊(Method 代表取締役)
三浦 崇宏(Breakthrough Company GO 代表取締役)
鈴谷 瑞樹(ファボラボ阿蘇南小国 ファブマスター)
(※一部抜粋。組織名・肩書きは当時のものです。) - 参加企業株式会社 阿蘇自然の恵み総本舗
株式会社 冨坂建設
株式会社 フロンティアビジョン
株式会社 サンワハイテック
株式会社 おじックテクノロジーズ
株式会社 キューネット
くまもと★農家ハンター
株式会社 マスナガ - ウェブサイトhttps://www.project180.team/