イノベーションスタジオ福岡

イノベーションスタジオ福岡は、企業・大学・公的機関が連携し、福岡の街にイノベーターを輩出し、イノベーションを起こすための市民主体のプラットフォームです。福岡市と福岡地域戦略推進協議会(Fukuoka D.C.)の人材部会が主体となり始動した本プロジェクトでは、リ・パブリックが設立当初からパートナーとして企画運営に関わってきました。

約半年間のプログラムには、毎期30名ほどの多様なバックグラウンド・能力をもつ市民が参加し、自分たちの生活の中にある課題を発掘し、インタビューや行動観察といったフィールドワークにより課題を深く掘り下げます。このフィールドワークではとくに、課題に対し極端な行動パターンや問題意識をもつエクストリームユーザーを対象とすることで、これまでにない視点を獲得していきます。新たな視点からビジネスアイデアを生み出し、プロトタイピングと現場でのテストを繰り返していくことで、アイデアを磨き、事業を生み出していきます。

イノベーションスタジオ福岡では、市民自らが課題を探索し、創造的な切り口で機会を発見し、新たなプロジェクトを生み出す、このコンセプトを「市民発イノベーション(Citizen-Led Innovation)」と称してきました。

イノベーションという言葉から連想されるのは、シリコンバレーに代表される、指数関数的な成長により、IPO、バイアウト(買収)を目指すスタートアップです。しかし、イノベーションスタジオ福岡が探索してきた「市民発イノベーション」では、都市圏を生活基盤とする市民が、自らの暮らしや文化に対し、課題と機会を自ら発見し、事業創造を通じて変革をもたらし、市民を起点に新たな都市像を結ぶことを目指しました。

イノベーションを育むテーマ設定

そのために、市民自らの身の回りの課題を出発点に、イノベーションを育む以下のようなテーマ設定のもと、プロセスづくりに取り組みました。

Project0:障がいのある子どものバウンダリーをリデザインする
Project1:日常の中のスポーツのデザイン
Project2:ライフコースのイノベーション ―つながり・仕事・成長の未来―
Project3:隠れた資源のデザイン ―思いがけない組み合わせからイノベーションを導く―
Project4:災害を乗り越えるイノベーション ―しなやかでたくましい暮らしの創造に向けて―

VOICE

内田友紀 (リ・パブリック共同代表)

イノベーションスタジオ福岡がはじまったのは、日本各地で“地方創生”が叫ばれる少し前。大都市のみならず、自然豊かな地方都市において大規模な事業創造プログラムが生まれ、自身の暮らしや文化に対して課題や機会を発見し、みずからの事業により変革をもたらす
ーいわゆるソーシャルイノベーションをテーマとするなど、当時には少し珍しい立ち位置でした。いま、福岡のスタートアップカルチャーやインクルーシブな街づくり、国際化を担う多くの方々が、イノベーションスタジオを卒業したり、また関わってくださったりした人々です。

福岡市は、豊かな自然と都市文化が共存する、クオリティオブライフの高さでも名が挙げられる街です。その土地を愛し、より豊かな暮らしや仕事を作ろうとする人々がこのプログラムに集いました。
私たちにとっても、創業最初に取り組んだ大きな仕事。また個人的にも、イタリアから帰国後に移り住み、多くの人々に出会い支えられながら手探りで作ってきた、思い出深いプロジェクトです。そして、市民発イノベーションやCivic futuresなど、弊社の長きにわたるテーマの第一歩をあゆみはじめたのも、このプロジェクトだと思います。

CREDIT

  • 主催
    イノベーションスタジオ福岡運営協議会 (福岡市、九州大学、産学連携機構九州、西日本新聞社、福岡県、福岡女子大学、福岡地域戦略推進協議会)

ソートリーダー(先駆的実践者)

  • 為末大
    株式会社R.project取締役
  • 瀧本哲史
    京都大学産官学連携本部イノベーションマネジメントサイエンス寄付研究部門客員准教授/エンジェル投資家
  • 馬場正尊
    有限会社Open-A代表/東京R不動産ディレクター
  • 柳瀬隆志
    嘉穂無線株式会社副社長/Fablab太宰府代表
  • 若林恵
    WIRED日本版編集長/フリーエディター/ライター
  • 渡邉さやか
    re:terra代表
  • ※一部抜粋。組織名・肩書きは当時のものです。

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