社会課題の最前線から捉える、未来洞察のためのフィールドリサーチ

社会イノベーションを事業の中核に掲げる株式会社日立製作所は、研究開発グループのデザイン部門において、ビジョンデザイン活動の一環として未来洞察を継続的に行っています。2020年には「持続可能な社会のきざし」を発表。コロナ禍を経た2023年、新たなきざしの探索に向けた調査研究にリ・パブリックが伴走し、質的調査の設計・手配・実査への参加を行いました。

未来洞察の材料として大量の情報をスキャニングすることに加え、多様なインプットを検討することも必要ではないか。この問題意識に基づき、今回の探索は地域の営みを複数の視点から掘り下げるフィールドワークを主体に設計しました。訪れたのは、鹿児島県北西部に位置する阿久根市と、有明海を挟んでその対岸にある熊本県上天草市。いずれも人口減や少子高齢化、産業構造の変化などの社会課題に最前線でさらされつつ、地域に根ざしてその豊かさや課題を探索し、次世代への種を蒔く人の活動が光る地域です。

フィールドワークにあたり、阿久根で水産加工業を起点に事業を展開する下園薩男商店代表・下園正博氏と同社渡辺貴大氏、そして上天草で公共交通を含めた観光インフラ整備を推進する株式会社シークルーズ代表・瀬崎公介氏という、両地域のスタープレイヤーにしてネットワークのハブである方々にコーディネーターとして参画いただき、地域の多様な方々を訪ねて対話を重ねました。

プレリサーチとして、訪問地域やインタビュー対象者についてはもちろん、有明海をとりまく広域の地理歴史や我が国の消費社会史にも視野を広げたデスクトップ調査を行い、共有した上で現地に入りました。

リサーチの方法自体をアップデートすること。一方的に学びとるのではなく、地域の方々とともに考えること。人・資源・資金の域内循環や、地域の産業・文化の創造的継承など、これからの地域の豊かさをつくるエコシステムと動力を読み解くこと。問いに対する答えに終わらない、よりよい問いを立てるためのフィールドリサーチを私たちは追求しています。

本フィールドリサーチの詳細を伝えるレポートが、日立製作所研究開発グループのサイトで公開されています。また、ここからのインサイトを活用した新しいきざし「経済エコシステムのきざし」も発表されました。ぜひ下部のリンクからご覧ください。

CREDIT

  • 調査主体
    株式会社日立製作所
  • 企画運営
    リ・パブリック
  • 鹿児島・阿久根コーディネーター
    下園正博(下園薩男商店 代表取締役社長) 
    渡辺貴大(下園薩男商店)
  • 熊本・上天草コーディネーター
    瀬崎公介(株式会社シークルーズ 代表取締役) 
  • 撮影
    伊藤建太朗