英国Future ObservatoryのJustin McGuirk氏、CDW24🇹🇼への登壇決定!

アジア・パシフィック特有の伝統や慣習、生活様式に注目し、それぞれの土地に根ざしたサーキュラーデザインの可能性を探求する場として、2023年12月に鹿児島の地で第1回となる Circular Design Week 2023 (サーキュラーデザインウィーク)を行いました。今年は舞台を台湾に移し、「Bioregion-ing together」をテーマとして掲げるプログラムを、10月10日(木)〜10月13日(日)の4日間にわたって実施します。

まず、前半の二日間は台湾の嘉義市と雲林縣で、その土地ならではの歴史や文化と紐づいた循環の取り組みを探索し、多様な研究者・実践者とローカルの人々による複数の知見を交差させる濃密なTours & Workshopsを行います。そして後半の二日間は、より多様な方々とともに台湾および国外の事例を検討しながら、新たな実践の手掛かりを模索するConference台北にて行います。

そのConferenceの基調講演につきまして、このたび、英国 Design Museum が芸術人文科学研究会議と共同で設立した、グリーン移行のための国家デザイン研究プログラムFuture ObservatoryのディレクターであるJustin McGuirk 氏に務めていただくことが正式に決定いたしました。

McGuirk 氏が編集長を務め、2024年4月に初号が公開されたFuture Observatory Journalでは、今年のテーマを策定する際にインスピレーションを受けた「Bioregioning」を主題として扱い、バイオリージョニングを通して描かれる別の未来や具体的な実践のケーススタディ、望ましい未来に向けてどのように制度や政策面を変えうるかなどについて、多層的に探索していらっしゃいます。サーキュラーデザインにとどまらず、システミックデザインやポリシーデザイン、都市計画などの観点からも非常に示唆深いお話をいただける予定です。

 

Justin McGuirk
ロンドンを拠点とする作家兼キュレーター。Future Observatory(フューチャー・オブザーバトリー)のディレクターを務める。Design Museumの前チーフキュレーターでもあり、8年間にわたり展覧会プログラムをディレクションし、「Fear and Love」(2016年)、「California: Designing Freedom」(2017年)、「Charlotte Perriand: The Modern Life」(2021年)、「Waste Age」(2021年)など、数多くの展覧会のキュレーションまたは共同キュレーションを担当。編集、新聞批評、デジタル出版インプリントの設立、国際的な展覧会のキュレーションなど、多彩なキャリアを持つ。


CDW24のプログラム概要

※プログラムの訪問地ならびに会場については適宜変更する可能性があります。

Tours & Workshops

日程|
2024年10月10日(木)〜11日(金)

場所|

1. 御鼎興醬油(雲林縣)

3代目である2人の兄弟が経営する醤油工場。この地域で発展してきた伝統的な発酵技術を使って醤油を製造する。また、食の域内循環をテーマにしたオリジナルレシピを考案し、地域の農家・食品事業者と共同で「未来の食卓」プロジェクトを推進している。

2. 台灣田野學校(嘉義市)

建築とリノベーションを中心としたコミュニティ構築を専門とするNGO。1994年まで運営されていた嘉義市刑務所を博物館やオフィススペースへとリノベーションしたり、台湾中部を中心に老朽化した公共施設、空き家を再生させながら実践を通じた環境教育プログラムを展開している。

3. 新港文教基金會(嘉義市)
 

17世紀に中国本土からの移民の主な入国地点の1つであった新康の地に1987 年に設立された新港文教基金會は、現代台湾の社会革新の分野の先駆者。当初は住民の間で芸術と文学を促進することに重点が置かれていたが、その活動範囲は年月とともに拡大し、世代を超えた技術と知識の継承という伝統を基盤として、循環をテーマにした取り組みも含まれるようになった。

4. 虎尾水塘場(雲林縣)
虎尾市は雲林県の都市で、19世紀には砂糖産業を中心に経済成長を遂げたが、生産量の減少により、従来のインフラの多くは廃止され、現在は熱帯植物​​が生い茂っている。水質、健康、文化、経済を同等に位置付けた上で「水を捕集して貯めて利用し、川、自然、都市生活にスペースを与えるシステム」の実現を目指している。

5. Taisugar Circular Village(台南市)
サーキュラーエコノミーのコンセプトを実装することを目的として、台南市に2021年に作られた循環型集合住宅。住民は農場で好きな作物を育てることができ、出たゴミは畑の肥料となる。また、家電や家具がヴィレッジ内でリユースされることで、廃棄物の量を極端に減らしている。ここでは、これからの循環型の暮らしと経済を一体的に成り立たせる施設と仕組みに触れる。

参加対象者|
CDW’24への協賛企業、国内外の研究者やサーキュラーデザインの実践者など

Circular Design Conference

日程|
2024年10月12日(土) – 13日(日)

場所|
台湾設計研究院(TDRI)カンファレンスルーム(台北市)

参加対象者|
サーキュラーデザイン実践者、研究者、関心のある方々

CDW24のご参加について

Tours & Workshops は、協賛企業と世界各地(特にアジア・パシフィック地域)からお招きする研究者/デザイナー/実践者(主に登壇者)限定のプログラムとなります。協賛にご興味をお持ちの方は別途、リ・パブリックメンバーにお声がけいただくか、cdw(at)re-public.jpまでご連絡ください。

Conferenceは、参加費無料となっております。後日立ち上げる特設サイトよりお申し込みください。(すでに参加をご検討中の方はリ・パブリックメンバーあるいは cdp(at)re-public.jpにご連絡をいただけますと優先的にご案内いたします。)

助成団体

Circular Design Week 2024 in Taiwanは、「日本万国博覧会記念基金」の助成を受けて開催します。


Bioregioningとは?

バイオリージョン(Bioregion、生命地域)は人間の都合による境界線ではなく、河川の流域やそれらが複数集められた自然地形や生態系による地域を指します。この運動は70年代前半より本格的に世界中へ拡がり、多様な生物の共生的な相互関係や自然の制約条件を前提とした人間社会・産業のあり方を提唱してきました。

近年、とりわけデザイン領域で、バイオリージョンを構成する多様な関係者(細菌、人間、山、川など)とその複雑な関わり合いを再構築し、その土地の循環や景観を取り戻したり、新たな創造を試みるバイオリージョニング(Bioregioning)という理論研究と実践が進んでいます。循環型社会への移行において、本質的にどのように人がその土地へ関わるのかといった社会的視点が重要なポイントです。

今年のCDWでは、このバイオリージョニングの視点から、台湾をはじめとしたアジア・パシフィックの活動を捉え直し、アジア発のサーキュラーデザインを探索します。そして、その実践へと繋げるためのネットワーク構築を行います。