What is a Serial innovator like? SERIAL INNOVATORS FORUM #1


P1

成熟した大企業の中にあって、繰り返しイノベーションを起こす人材・「シリアル・イノベーター」。イリノイ大学アーバナシャンペーン校工学部教授・Bruce VojakRaymond L. Priceによる研究をベースに、リパブリックでは日本の大企業におけるシリアルイノベーターの研究を進めてきました。
去る7月1日(火)、「SERIAL INNOVATORS FORUM #1シリアルイノベーターとは誰か?」を開催しました。事前に「シリアルイノベーター」とはどんな人物かを共有した後、Bruce・Raymond両教授も注目する 日本のシリアルイノベーター、パナソニック株式会社理事大嶋光昭氏のインタビューとこれまでの取り組みの成果を披露しました。

大嶋光昭氏は、手ぶれ補正機構や、ダビング10など、様々な領域でイノベーションを起こしています。この日はご都合が合わずインタビュー映像での紹介となりました。
大嶋氏は、当初、研究職としてパナソニックに就職しました。当時所属していた無線研究所には、小さくてもオリジナリティのあるものをつくろうというカルチャーがあり、大嶋氏も様々なイノベーションに挑戦しましたが、5回失敗してしまい、事務職に移されてしまいます。このとき、自分の夢を立たれた気持ちになり非常にショックだったそうですが、この経験がきっかけで、研究職の世界に対する強い思いを持つことになったそうです。そこから、事務仕事の合間に、毎月一個の新しい技術を出すということを2,3年続け、その3年目に当たったのが振動ジャイロでした。
当初、小型のジャイロを開発しようとしたものの、性能が足りず失敗してしまいます。傷心して行ったハワイで、カメラの手ブレの運動が、上下運動ではなく、回転運動であることに気づき、ジャイロが使えることを発見します。この後、研究としては非常にうまくいったものの、会社からは開発に対してストップをかけられてしまいました。しかし、大嶋氏は会社に黙って技術をアメリカに持って行き、成功させます。このとき、新しいものは抵抗が大きいけれども、成功すれば誰も文句を言わないということを学んだそうです。

イノベーターの素質について、大嶋氏の意見も伺うことが出来ました。
大嶋氏は、素質について後天的な部分の方が大きいのではないかと言います。大嶋氏自身、最初の5年間は未熟で、誰も大嶋氏がこれだけのイノベーションを起こすシリアルベーターになるとは思っていなかったそうです。しかし、粘り強く開発に取り組み、数々のイノベーションを起こしていった結果、シリアルイノベーターとして世界的に注目されるようになりました。

田村によると、シリアルイノベーターの特徴としては2つあります。1つ目に、常にゴールを明確に定めて行動するということがあります。新しいことに取り組むということは、普通であれば手探りの中道を切り開きながら進んでいくようなもの。しかし、シリアルイノベーターは、大量のリサーチや自らの思考を元に、ゴールを明確に定めて進んでいきます。だからこそ他の人たちもついていくことが出来るのです。
また、2つ目が開発スピードの早さです。大嶋氏も振動ジャイロの開発をアメリカで行ったことによって、日本の企業では3ヶ月かかることを3週間で行うことが出来たと述べています。また、現在では、各ステージで上からの承認を得る必要なく、非常にスピーディーにイノベーションを起こしています。これは、シリアルに(連続して)イノベーションを起こす上では非常に重要な要素だと言えます。

P3

P4


その後の質疑応答ではサプライズが!なんと、急遽大嶋氏ご自身が電話で直接会場からの質問に答えて下さることに!
「様々な特許取を取得するにあたり、多領域における侵犯であるとして抵抗に合うことはなかったのか」という問いに対しては、「自社の他部署と他社、両方から抵抗にあったが、まず北米で成功したことによって、国内でも評価されるようになった」という、ルートを変えることによって突破口を作るという答えがあがりました。また、「どのようにイノベーター人材を見つけ、育てればよいのか」という問いに対しては、「特に選抜しているわけではないが、『評価を気にせずに新しいことをする』という大嶋塾の精神に合致であればともに研究・開発を行う事が出来る」という答えがあがりました。

P5

その後、シリアルイノベーター研究会に関する報告を行いました。
研究会では、イノベーションポートフォリオを作成し、さまざまな事例の研究を行ってきました。今回は、花王株式会社のシリアルイノベーター、石田耕一氏・コクヨファニチャーの竹本佳嗣氏・味の素で、鍋キューブなどの開発を担当した島谷達也氏・トヨタの小木曽聡氏という、インタビューを行った4名のシリアルイノベーターをご紹介しました。

彼らの動きを見ていくと、 PROCESS/プロセス、POLITICS/社内政治、 PERSONALITY/性格・個人のパーソナリティ 、PERSPECTIVE/ものの見方・視点・レンズ 、PREPARATION/学び・習熟・準備、 MOTIVATION/モチベーションからなるMP5モデルを書くことが出来ます。
特に、そのなかでも、PERSPECTIVE(視点)が重要ではないかと田村は述べます。シリアルイノベーターは、企業が成熟期を迎え、社会の現実と企業の論理が乖離してきたときにその能力を発揮する存在です。社会の論理は急速に変わっており、その斥力はとても大きくなっていると考えられます。

P6

組織としてイノベーションを起こす上では、どんなことが出来るのでしょうか。田村によると、大企業でヒエラルキーがかっちりしているところでは難しいともいいます。しかし、シリアルイノベーターも、はじめから知識があるというわけではなく、やりながら学び、イノベーションを起こしてきた人々ばかりです。
今後、研究会では、シリアルイノベーター発掘と育成をどのように行っていくかの研究を進め、シリアルイノベーターの知名度を上げていきたいと思っています。

なお、会場提供をして頂いたコクヨ株式会社WORKSIGHT LAB.が発行するワークスタイルメディアマガジンWORKSIGHTにて、今回ご紹介した4名のシリアルイノベーターについての特集記事が毎週アップされます。こちらも合わせてご覧下さい。

Facebook Comment
Pocket