【開催報告】Re:bound-社会境界のリデザインからイノベーションを生み出す-


この夏、2014年の9月21日,22日にRe:public主催のイベント「Re:bound」が開催されました。
今回の合宿につけられたサブタイトルは、”境界を書き換える”。

デザイナーや研究開発職、企画職、経営職等、社会の一線でクリエイティブな活動を進められている参加者の方々と共に、様々な社会的境界についてディスカッションし、リデザインする合宿型ワークショップが「Re:bound」です。
各テーマのフロンティアで活躍されるスペシャルゲストを招いたトークを皮切りに、各テーマに関する境界の現実、そして境界を書き換えるためのアイデアについてのディスカッションを行いました。

今回の舞台は、東京から離れ、芸術祭の町新潟県の越後妻有です。

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秋晴れに恵まれた澄み渡った空気のもと、収穫が迫った稲穂が広がる景色がまた美しいんです。
会場は、小学校であった宿泊施設「三省ハウス」にお世話になります。
下駄箱、体育館、廊下、図書館、教室…ほとんどそのまま残されたつくりは、
歩くだけでどこかなつかしい気持ちになります。

最初に、Re:publicのメンバーからディスカッションテーマとゲストスピーカーの紹介、各スピーカーからKeynoteプレゼンと続きます。
合宿に用意されたテーマは、3つ。それぞれのテーマに基づいてお呼びしたゲストスピーカーの3名とテーマを紹介していきます。
写真は左から塩瀬隆之さん、中台澄之さん、広瀬郁さん。

ゲスト

1.「産官学のリデザイン」:産・官・学それぞれの立場の境界を超えた、本当の産官学連携はどのように作ることができるのか

ゲストは、京都大学総合博物館准教授の塩瀬隆之さん。大学と行政の人材交換制度を作るなど、産官学の実践の現場に携わっています。

2.「ネオアマチュアの時代」:働き方が多様化する中で、自分の枠を拡張して社会的変化を生む「ネオアマチュア」とはどんな存在か?

ゲストは、株式会社ナカダイの中台澄之さん。産業廃棄物を魅力的なマテリアルと捉え「使い方を創造し、捨て方をデザインする」活動を通じて、産業廃棄物処理という分野に新しい切り口を与えています。

3.「東京をとらえ直す」:何百万人が行き交う、大都市東京。何となく漠然としか捉えていない東京を、2020年の「東京オリンピック」を目の前に、私たちはどう捉え直せるか

ゲストは、株式会社トーンアンドマターの広瀬郁さん。代表作のホテルCLASLAで見られるように、建築プロデューサーとして経験のためのプラットフォームとして、空間、建築を手がけています。

会場はテーマ選びにつながる話に、メモをとりながら熱心に聞いていました。

その後、3つのディスカッションチームに分かれ、食堂のテラス、図書館、畳の会場に移っていく皆さん。それぞれのチームで集まり、自己紹介も兼ねながら、自分とテーマの結びつきを話すことからスタートします。

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1日目は、それぞれのテーマに潜む社会問題は何なのか、課題はどこなのかを探るディスカッションでした。ポストイットに言葉を残しながら、どんどん議論の土壌を見出していこうと進みます。
会場は、笑いにどっと湧くグループ、議論がもやもやしながら進むグループなど、参加者の皆さんの表情はさまざま。
夕食、温泉でリフレッシュをしつつ、最後には外で花火まで楽しみました!
もやもやした思いをぶつけながら、見えない境界を探る議論は、夜な夜な続きました。

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2日目、昨日の議論を踏まえて、チームで1つのアイディアに落とし込んでいきます。温泉、花火、そして飲み会を経た効果なのか、チームの雰囲気も昨日と比べてお互いのことを知ることができたようで、また少し空気が違うように感じられました。

各チーム、発表に向けて議論を深めて行きます。もくもくとポストイットにアイディアを書いていったり、議論が盛り上がって思わずイスから立ちあがって話を進めたり、どんどん自分自身が動くことでディスカッションが展開されていきます。その中でも、言葉のみならず、皆さんの「表情」「うなずき」が増えて行くように感じました。点と点でバラバラだったものが、誰かの発言で納得できるようになる。自分の経験とつながって理解できる、というサイクルが回っていたのでしょうか。

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しかし、当然のことながら、議論がきれいに収まることはありません。
どのチームも会場まで議論を持ち込み、その場でタイトルが決める瞬間も。
そんな躍動感をそのままに、各チームの発表をもって、ディスカッションが終わりました。

最終発表!
何か2日間を共にしたチームメンバーからは「同志」のような連帯感が感じられます。
これも、合宿型イベントの醍醐味なのかもしれません。

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発表は、まず、「産官学のリデザイン」から。

産官学連携の現状が、チームメンバーがそれぞれ産・官・学、そして民になりきったスキットで紹介されました。
ディスカッションを通じて、日本はそれぞれの立場に固執してしまい、何か一緒に組むこと自体が自分自身が損をするのような互いへの不信感があるという課題を見いだしました。その上で解決策として出て来たのが、『SSV(Shared Social Value)ラボをつくる』。産官学、それぞれが互いの活用されていなかったリソースを提供しあうことでアイディアを実現していくこと、そして、大義の違いを乗り越えた根本的連携を生み出すことを目指します。
『データや技術のリユースを実現するのがこのラボ。そして、このラボでは何が必要なのかを探索し、実現し、その結果を広げて行く。今までの産官学の議論では民が無視されがちだった。このラボはちゃんと民が自主的に参加できる場を作って行きます。』というように締めくくられました。

そして、「ネオアマチュアの時代」。
今回、ネオアマチームは、ネオアマチュアという存在が、周囲や社会にどんなインパクトを与えるのかということを中心に話し合いました。ネオアマチュアの1つの特徴は、自分の興味や関心に正直な「アマチュア(その語源は「愛する人」)」であること。しかし、周囲の反応からのフィードバックと重ね合わせながら、自分事としてのベクトルを社会の変化・動きと合わせ、新たな方向へと向け動いていくことが出来るということが重要なのではないかということになりました。
そして、その活動連続していく中で、新しいプロ、即ち新たな分野を拡張する存在になるのではないか。
今回のゲストである中台さんのモデルの発表も。
『自分の既存領域に対する違和感を覚える。そこからスイッチが入りやらなければいけないことに気づく。そして、それを社会に伝える。そこからフィードバックが返ってくる、ブラッシュアップをする。その無限の繰り返しの中で常に再解釈していく。』
このネオアマの流れを加速するために、アマチュア的問題意識を誰かに話しやすくすることがまず重要。実際にこうしたプロジェクトをやりたいと考えている、という、参加者の発表で締めくくられました。まさに、このセッションそのものがネオアマチュアの1つの過程に位置づけられたとも言えるでしょう。

最後に「東京をとらえ直す」。タイトルは「におえ!東京」です。
東京チームは、まず東京とは何なのかという話をしてきました。
『さまざま面、イメージがあるが行政単位ではなく、文化産業圏の集まり・ネットワークこそ、東京の特徴なのではないかと考えました』という参加者。
そして、その文化産業圏の特徴があまり理解されていないことが課題であり、これからはある人にとって必要な文化産業圏をキュレーションしてくれる存在が必要。その文化産業圏を愛している人が自覚的にTRIBEになり、街へのオーナーシップを持ち、その圏の「街のにおい」を周囲へ共有していく。ではそのにおいをどう発信するのか、作るのかという軸で具体的なアイディアを考えました。
においをつくるアイディアとしては、『小商いや祭り、花見のように、ボトムアップで街のにおいを作って行くことが必要。そして、においを発信するためには顔の見えるキュレーターが案内していく。』ということが発表されました。
その発信のモチベーションは、この街が好きだという気持ち。いまあるにおいを可視化し、においを促進することがコミュニティを持続的にしていくのでは、と締めくくられました。

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こうして、それぞれの発表が終了!
3チームとも異なるテーマではありましたが、発表中どのチームも他の2チームにつながる話がありました。

境界を書き換えるのは、当事者として問題を捉え直す私たち1人1人であること。私たちが皆持っているものは、「何かを良くしたい!と思う気持ち」や「何かをが好き」という純粋な思いだったりします。

では、私たちは社会境界のリデザインを考える際に、その思いを持ち寄って、1アクターとしてどう関われるのか。そんな議論が発表を通して浮き上がってきました。

皆さん1人1人の異なるバックグラウンドからの参加、そしてゲストの方のリアルな視点が集まったことで、見えない境界線を探るたくさんの視点とアイディアが出て来た合宿でした。

第1回集合写真

これをきっかけに、何か実際にうごくカタチにしていこう!という考えのもと、これからもRe:publicで発信していきます。
また、「Re:bound」は今後も開催していく予定ですので、今回参加出来なかったという方も、また次回ぜひご参加頂ける事をお待ちしております!

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